映画「浜の朝日の嘘つきどもと」

映画「浜の朝日の嘘つきどもと」を鑑賞しました。

この映画は、福島県南相馬市に実在する映画館「朝日座」を舞台に繰り広げられる人間模様を描いたドラマ。
さまざまな災禍を免れ、街の人々に愛されてきた歴史ある名画座が閉館の危機に直面する作品。

ストーリーは、福島県南相馬市の映画館「朝日座」は100年近くにわたり地元住民に親しまれてきたが、時代の流れに逆らえず、支配人の森田保造(柳家喬太郎)は閉館を決意する。
森田が一斗缶に入れた35ミリフィルムに火を付けると、突然現れた若い女性(高畑充希)が水をかけて消火する。
茂木莉子と名乗る彼女は、経営難の朝日座を再建するため東京からやってきたと話す。
地域に根差した名画座を守ろうとする莉子と、やむなく閉館を決めた森田の思いが、朝日座の存続をめぐって交錯する。

この作品を鑑賞したのは10月末。
レビューするのを忘れていたので、この時期ですがレビューする事にしました。

シネコンでは上映館が少なく、都内のミニシアターでの鑑賞。
当初は鑑賞予定になかったのですが、映画批評サイトなどでの評判が良かった事、今年で東日本大震災から10年を迎える事から、震災が絡んだ人間ドラマを観てみようと思いました。

高畑充希演じる主人公は浜野あさひ。
福島県の高校に通っていましたが、在学中に震災に遭い、ある事がきっかけで福島にいられなくなってしまいます。
そんな浜野あさひが、久しぶりに戻ってきた福島で訪れたのが南相馬市にある映画館「朝日座」。
この「朝日座」という映画館は南相馬市に実在する映画館であるとの事です。

コロナ禍で経営が行き詰まり、映画館を閉鎖しようと決意した森田に対して、彼女は「茂木莉子」と名乗って映画館の再建を目指そうと訴えます。
「茂木莉子」つまり映画館のチケットの「もぎり」から来ています。
流石に、この名前を名乗った時は私を含めて劇場が笑いに包まれていました。

タイトルにもなっている「浜の朝日の嘘つきどもと」。
嘘つきなのは浜野あさひだけではありません。
彼女の高校時代の恩師にあたる田中先生(大久保佳代子)も、ある嘘をついていたし、「朝日座」の支配人も自分の気持ちに嘘をついています。
その嘘つきどもが織りなす世界。
震災、コロナ禍と試練に直面しながらも、それを受け入れて乗り越えていこうとする「嘘つきども」の快進撃は胸を打ちました。

主演の高畑充希もさることながら、俳優が本業ではない大久保佳代子や柳家喬太郎が存在感を見せてくれました。
中でも大久保佳代子演じる田中先生。
教師でありながら男癖が悪いと言う役でしたが、浜野あさひにとっては立派な恩師。
自分を慕う教え子に最期を看取ってくれただけでも教師としては幸せだったと思います。

そして、その田中先生の遺言が実に印象的。
とても感動したと言えるセリフではありませんが、心に残る遺言でした。

まさに、笑ってホロリの感動作。
こういう映画をもっと多くの人に観てほしいと思います。
映画館の運命も、最後まで分からずにハラハラドキドキさせられました。
歴史と伝統を守る大切さ、古き良きものへの敬意を感じる作品でした。

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