映画「アゲイン 28年目の甲子園」

映画「アゲイン 28年目の甲子園を鑑賞しました。

この映画は、重松清原作の小説を映画化した感動のヒューマンドラマ。
かつての球児たちが甲子園に再挑戦する「マスターズ甲子園」を題材に、大人たちが野球を通して生きる喜びを再認識する姿を活写する作品。

ストーリーは、ある日、坂町晴彦(中井貴一)のもとを、高校時代共に甲子園出場を夢見た野球部仲間の娘である戸沢美枝(波瑠)が訪ねてくる。
彼女は東日本大震災で亡くなった父親の遺品の中から、束になって投函されずに残っていた年賀状を見つけ、晴彦のところへやって来たのだ。
その後晴彦は、美枝がボランティアとして参加する「マスターズ甲子園」に誘われ、昔の苦い思い出が頭をよぎる。

かつての球児が再び甲子園を目指す「マスターズ甲子園」。
名前程度しか知らなかったのですが、どういう大会方式で運営しているのか、この映画を通じて知る事が出来ました。
果たして、私の母校はマスターズ甲子園に加盟しているのでしょうか?(声がかからないから、たぶん加盟していないか・・・)

坂町は高校時代に川越学院という高校の野球部でキャプテンを務めていた人物。
高校時代にあと1勝で甲子園出場が決まるチャンスだったが、部員の暴力事件が発覚して県大会決勝を辞退し、戦わずして甲子園の夢を絶たれてしまう。
今だったら事件を起こして部員のみ処罰されるのだが、当時は連帯責任で出場辞退していた時代。
負けて甲子園出場の夢を絶たれたなら納得していたでしょうけど、戦わずして甲子園出場の夢を絶たれた絶望感と来たらハンパではなかったでしょうね。

ちなみに坂町が在学していたのは1982年から1984年の3年間。
当時の埼玉県の高校野球は県立高校が幅を利かせていた時代。
翌年に私立の立教高校が埼玉県史上初めて私立高校の甲子園を果たすのだが、作者はその事を知っていたかどうかは謎である(笑)

始めは乗り気でなかった坂町も、当時の忘れ物を取り戻そうとマスターズ甲子園の参加を決意する。
そこから先は川越学院の快進撃が続きマスターズ甲子園まで、あと1勝に迫る。
その決勝戦の相手は28年前の県大会決勝で対戦する筈だった所沢工業。

その所沢工相手に苦戦する川越学院ですが、ルーズヴェルトゲームで決着が着いたのはご愛嬌。
出来れば坂町が打って決めてほしかったけど、あえて送りバントでチャンスを広げたのは、「フォア・ザ・チーム」の証なのだと思います。

マスターズ甲子園も本当に甲子園でロケをしたのだから羨ましい。
対戦相手は、かつて甲子園で一時代を築いたあの高校を意識したような校名とユニフォームだったのが個人的に最高でした。

この映画の、もう1つのテーマが「家族の絆」。
坂町は娘・沙奈美(門脇麦)と距離が出来てしまい、高校時代にはエースだった高橋は無職である事から家で厄介者扱い。
そして美枝も父の事を良く知らないまま。

これらの家族の絆がマスターズ甲子園をきっかけに取り戻していくのはわかりやすい設定でしたが、それでも美枝が父が仕事場に置いてあったグローブに書かれた文字を見て剛球号泣するシーンや、試合後のキャッチボールで美枝の計らいで坂町と沙奈美がキャッチボールするシーンには最高の演出でしたね。
そして、最後に坂町と美枝のキャッチボールするシーンが用意されていたのも「こうなるんじゃないか」とわかっていたも心動かされる所がありました(涙)

このように感動的なシーンが多かった映画でしたが、笑えるシーンもありましたね。
特に坂町と高橋の会話のやり取りが実に絶妙で思わず劇場で吹いてしまったシーンがいくつかありました。
特に劇場内で笑いがこぼれていたのが以下のシーン。
高橋「これから風呂に入るんだよ」
坂町「プロに入れるわけねぇだろ!」
高橋「風呂に入ると言ったんだよ」

高校時代の事件がなければプロに入っていたかもしれないと美枝に対して怒鳴った高橋に対して、一旦は高橋宅を出た坂町が、再び高橋宅に戻って口論する場面。
歳はとっても、学生時代の友人相手だと口調も学生時代に戻ってしまうものなのですねw

最後に一番気になったシーン。
それは、マスターズ甲子園出場を決めて喜ぶ坂町達をよそに、一人ベンチ裏に消えて行った当時のマネージャー(和久井映見)。
やはり当時の出来事をひきずっていたのでしょうね。
後ろ姿を寂しそうに見つめる坂町の表情も切なかったです。

甲子園は高校野球をしていた者にとって何年経っても憧れの舞台。
このマスターズ甲子園が、この映画をきっかけに大規模な大会になってくれるといいですね。


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