映画「マネーボール」
この映画は、アメリカメジャーリーグの貧乏球団を独自の理論で常勝球団に育て上げた実在の男の半生を基にしたヒューマンドラマ。
球団のゼネラルマネージャーが独自の理論である「マネーボール理論」を推し進め、貧乏球団を常勝集団に生まれ変わらせていく過程を描いた作品。
ストーリーは、元プロ野球選手で短気な性格のビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、アスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)に就任する。
チームはワールド・チャンピオンになるには程遠い状態で、優秀な選手は雇えない貧乏球団だった。
ある時、ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)というデータ分析に長けた人物との出会いをきっかけに、「マネーボール理論」を作り上げる。
しかし、「マネーボール理論」に対し選手や監督からは反発を受けてしまう。
実話を基にした野球映画という事で、興味を持って劇場鑑賞する事に。
自分も野球経験者なので、実際のMLBの試合もTVで観たりするが、有名な選手が実名で登場したり、あのイチロー選手も登場したりと、それだけで興味をそそる内容でした。
ビリーがGMを務めるチームはオークランドアスレチックス。
現在、松井秀喜選手が所属するチームである。(今オフで移籍する可能性があるが)
過去9回のワールドチャンピオンに輝いた事のあるチーム。
しかし、資金力がなく、自前で育てたいい選手も他球団に引き抜かれてしまい、貧乏球団として重くのしかかる日々。
そこで、データ分析に長けたピーターをヘッドハントし、そのピーターはビリーに「選手を買うのではなく、勝利を買うべきだ。」と持論を展開し、ビリーもそれに従う。
統計学を基に選手起用し、安打より四球、バントはしないなどの戦術で、開幕ダッシュに失敗しながらも、次第に白星を積み重ねていく。
何だか、「もしドラ」に良く似たストーリーだったが、現代スポーツでは野球に限らず、データを参考にして戦うケースが多くなっている。
実際にアスレチックスは2002年に20連勝を達成しているが、その20連勝を達成した試合が印象的。
一時は最大11点差までつけながら、徐々に追い詰められ、とうとう同点に追いつかれてしまうが、他球団を戦力外になってアスレチックスに拾われたハッテバーグの代打ホームランで20連勝達成。
しかし、11点差を追いつかれてしまったのだから、やっている方からすれば素直に喜べないのが実情でしょう。
尚、この20連勝はリーグ記録であってMLBでの最多連勝記録は26連勝らしい。
やっぱりアメリカって凄い?
「マネーボール理論」については考えさせられる部分も多かったが、一方でメジャーリーグの厳しい現実を、この映画を通じて垣間見る事が出来ます。
主力選手をシーズン中にトレードで放出したり、なかなか結果の出ない選手に対して戦力外通告を本人の目の前で告げたりと、日本のプロ野球では滅多に見られない光景です。
ビリーも選手としては大成出来なかったから、そういう選手達に自らの口で告げる事は非常に辛い事だったかと思います。
チームの再建に成功したビリーは、終盤に人生の大きな選択を迫られるが、あくまでのビリーは自分の道を進む事を選んだ。
今でもアスレチックスのGMとしてMLB制覇を目標に戦っているそうです。
MLBにおいてのGMがどのように機能しているのか克明に伝わる作品でした。
日本のプロ野球では親会社の重役がチームを仕切っているチームがほとんどで、GMを設置しているチームでも実際に機能しているチームはほとんどないのが実情。
あえて挙げるなら高田繁氏がGMだった頃の北海道日本ハムファイターズくらいでしょうね。
しかも、この映画の上映開始に合わせるかのように、GMのポストに就いている人が内部でのゴタゴタを公表してしまうクーデターを起こしてしまう騒ぎに。
しかも、日本シリーズの前日という時期に・・・。
そのチームに限らず、NPBのチームは今一度MLBのフロントと現場がどのように機能しているのかを分析する必要がありますね。
この「マネーボール」を見て、それを痛切に感じました。