映画「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」

映画「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」を鑑賞。

この映画は、太平洋戦争の激戦地サイパン島で、たった47人の兵力で4万5,000人ものアメリカ軍を翻弄し続け、アメリカ軍から恐れられた実在の日本人・大場栄大尉の実話を映画化した戦争ドラマ。

ストーリーは、1944年太平洋戦争末期。
サイパンに、アメリカ軍から「フォックス」と呼ばれ、恐れられた一人の日本人・大場栄大尉（竹野内豊）がいた。
大場は兵力が47人になりながらも仲間の兵士たちと共に16か月間敵に立ち向かい、多くの民間人を守ってきた。
やがて彼の誇り高き魂は日本人だけでなく、アメリカ人の心も動かしていく事になる。

事実に基づいた作品で、日本・アメリカ両国の戦争を描いているだけあって、人が無残に殺されていくシーンがあったけど、実際の戦争はもっと悲惨だった事でしょう。
この映画を製作した日本テレビ系列のニュース番組「ニュースZERO」の番組内でも、当時のサイパン島での悲劇を取り上げていました。

サイパン島には「バンザイ・クリフ」と呼ばれる地名がある。
その名の由来は、民間の日本人がアメリカ人を鬼畜と恐れ、アメリカの捕虜にならずに、その崖から「天皇陛下万歳」と言って身を投げた事から名付けられた。
その「バンザイ・クリフ」から身を投げるVTRを観た時は、過去の映像とは言え、流石に怖かったです。

太平洋戦争を題材にした映画として、近年では「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」で、日本とアメリカ両国の視点から描かれた映画が公開されたけれど、今回の「太平洋の奇跡」は、元アメリカ人兵士の小説が原作としていて、今回は１作品内で日本とアメリカそれぞれの立場から描いている。

いきなり英語でのナレーション(字幕つき)で始まったのには洋画なのかと思いましたよ。
劇中内でも、英語、日本語両方が絡んでいたし、ある意味では日本だけの視点で描いた作品ではないと言う事が伝わってきます。

この作品の主人公である大場栄大尉。
当初は敵を１人でも多く倒す事を目的にしていたが、目の前で民間人がアメリカ軍攻撃の犠牲に遭ってしまってから、目的を民間人を守る事に変える。
そして、47人にまで減った兵力の中で、民間人を必至に守り抜き、そして自分達の部下の命も救った。
「生き恥を晒すくらいなら死ね」とされてきた時代にありながら、大場大尉は生きる事を選択した。
当時の時代にあっては、なかなか出来ない行動で勇気が必要だったと思います。

この映画で感銘を受けたシーンが敵軍の将校ハーマン・ルイス大尉の将棋の駒を使った説明。
「何故、日本人は投稿せずに自殺するのか？」
アメリカ軍の司令官の問いに対して、将棋の駒を使ったルイス大尉の説明は、日本人としての自分にも非常にわかりやすい説明でした。

それ以外でも、印象に残るシーンや印象に残ったセリフが多かった。
戦争関連の映画は好きではありませんが、この映画は戦争を知らない世代だからこそ観るべき映画であると思います。

大場大尉を演じた竹野内豊はじめ出演者達が、それぞれ迫真の演技を魅せてくれました。
竹野内豊以外では、スキンヘッドの兵士を演じた唐沢寿明がインパクト強かったし、身内をアメリカ兵に殺された看護士役を演じた井上真央の敵意丸出しの目も印象的でした。

この映画を観終わって気になった点は、木谷(山田孝之)の行方。
彼はこの後どうなったのでしょう？

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男 (小学館文庫)
小学館
大石 直紀

Amazonアソシエイト by