映画「沈まぬ太陽」

映画「沈まぬ太陽」を鑑賞。

この映画は、人気作家・山崎豊子による同名ベストセラー小説を、壮大なスケールで映画化した社会派ドラマ。
日本が経済大国へと急成長した激動の時代を背景に、巨大企業に翻弄されながらも自らの信念を貫く男の姿を描いた作品。

ストーリーは、国民航空の労働組合委員長・恩地元(渡辺謙)は職場環境の改善に奔走した結果、海外勤務を命じられてしまう。
10年におよぶ孤独な生活に耐え、本社復帰を果たすもジャンボ機墜落事故が起き、救援隊として現地に行った彼はさまざまな悲劇を目の当たりにする。
そして、組織の建て直しを図るべく就任した国見新会長(石坂浩二)のもとで、恩地は会社の腐敗と闘う事になるのだが。

約3時間30分の長時間上映で途中で休憩が入ったりして、本当に長い映画でしたが、それだからと言って決して飽きる事なく最後までスクリーンに集中して鑑賞する事が出来ました。

この映画を観て全体的に感じた事は「現代社会の縮図」。
自分の事しか考えていない、身勝手な経営者や政治家の連中。
自分の気に入らない人間は排除する権力者の傲慢さ。
まさに現代社会の醜い部分を垣間見る事が出来、興味深い内容でした。

ストーリーは、ジャンボ機墜落事故から始まるのだが、1985年で大阪行きの123便となると、あの未曾有の大三時となった日航機墜落事故がモデルとなりますね。
現在、日本航空が経営危機に陥っていますが、そんな中で、この作品を上映するとは、あまりにもタイムリー過ぎw
原作者の山崎豊子さんは、こうなる事も予見していたのでしょうか?

あの墜落事故当時の私は、まだ小学生だったのだが、今でもよく覚えています。
それだけ、衝撃的な事件でした。

事故当時、会社側が遺族の方々にどのように接していたのかはわからないが、劇中内のように形だけの誠意がほとんどだったのかもしれません。
行天四郎(三浦友和)達が弔問した遺族に対して、「事故原因を究明している」という言葉に対しての遺族が言い放ったセリフ「事故原因ははっきりしている!壊れた飛行機に520人も乗せたからだやろ?」
うーん、実にわかりやすい原因ですw

日航機墜落事故をモデルにした映画といえば「クライマーズ・ハイ」がありますが、マスコミから見た観点と加害者という立場から見た観点とでは、同じ事故を扱った作品でも大きく異なりますね。
もっとも、「クライマーズ・ハイ」は新聞社内で、単に罵り合っていただけですが。

この映画の主人公である恩地元。
真っ直ぐな性格が災いして会社の上層部から嫌われ、海外の僻地を何度も異動を命じられる不遇な日々。
家族からも冷ややかな目で見られるが、墜落事故をきっかけに国民航空の会長に国見(石坂浩二)が赴任してから、恩地も国見に大事にされて重要なポストを担う事に。
国民航空内の膿を出したい国見は恩地とともに、数々の改革を実行するのだが、ここでも国見は恩地同様に上層部の連中から疎まれる事となる。

詳細を書くのは、ここまでにしておきますが、ストーリーは恩地と恩地とともに労働組合に加わっていた行天四郎(三浦友和)の2人が中心。
自分の信念を曲げずに数々の困難にも立ち向かう恩地に対して、行天は自分が上へ上がって行く為に、他人を蹴落としてまでも状況によって立場の強い側へ乗り換える数々のビックリ仰天行動。
まさに正反対な道を歩んでいます。
簡単に裏切る行天には、「『沈まぬ太陽』の呂布」の称号を与えたい(爆)

最後はともに別々の結末が待っているわけですが、日本に帰ってから多忙を極めていた恩地と、自分の手を汚し続けて来た行天。
望んだ結末ではなかったかもしれませんが、ある意味、2人とも救われる事になった結末だったと思います。

山崎豊子の作品と言えば、数年前にTVドラマで放映した「白い巨塔」が有名ですが、その「白い巨塔」に出演していた俳優が何人か出ていましたね。
この映画を観て、山崎豊子という作家の凄さを再認識しました。

とにかく長い映画ではありましたが、人間性に満ちたドラマで見応えのある作品でした。
主演の渡辺謙も恩地を好演していたし、三浦友和も行天の嫌なヤツぶりを憎いまでに演出し、脇を固める出演者達も、それぞれいい味を出していました。
最後に、あのような飛行機事故は二度と起きぬ事を、強く願います。


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