映画「それでもボクはやってない」

今日、映画「それでもボクはやってない」を鑑賞してきました。

この映画を制作した周防正行監督にとっては11年ぶりの作品で現在の裁判における矛盾点や問題点などを如実に描いた作品である。

ストーリーは以下の通り。
東京都内の電車に乗車していて某大学教授Uが駅のエスカレーターで女子高校生のスカート内を手鏡でのぞこうとして、それがバレてしまい現行犯で逮捕。
法廷では「天地神明に誓って無罪潔白」と強く主張したが、法廷は「罰金50万円、手鏡没収」の判決を言い渡し確定。
釈放後、再び電車内で痴漢行為の現行犯で逮捕され、逮捕直後は自らの罪を認めたが、後になって無実を主張し、今なお法廷にかけられていると言った内容。
・・・っていうのはウソ!

本当のストーリーを整理します。
就職試験を受けるべく慣れない満員電車に乗ったフリーターの金子徹平(加瀬亮)が乗り換え駅で降りると、同じ車両に乗っていた女子高生に「痴漢したでしょ?」と疑いをかけられ、その疑いをかけられた徹平が警察で取調べを受けてから、法廷で判決を下されるまでの約1年間を現実的に描いたストーリー。

ネタばれになるので詳細はあえて触れないこととしますが、この映画を観て感じたことは国家権力の横暴さ、理不尽さ。人を裁くことがどういうことなのか。
そしてやってもいないことをやったとみなされてしまうことの無念さを、この映画を通じて痛感してしまった。

まず警察なのだが、本当にこの映画のような取り調べをやっているのだろうか?
私は取調べを受けたことなどないので全くわからないのだが、一方的に怒鳴りつけて相手に話す機会すら与えない。
この映画では暴力はなかったのだが、実際に取り調べでは手を焼いている被疑者に対して暴力を振るっているかもしれない。
そもそもバックにヘッドフォンが入っていただけで「いい加減にしろ!」って?
バックにヘッドフォンを入れることが犯罪なのであろうか?
それなら私も犯罪者になってしまう。(私のはウォークマンタイプだが)
この映画で一番「はぁ?」って言いたかったセリフである。

法廷内においても取調べをしていた刑事は都合の悪い事はウソで誤魔化し、指紋採取の事を弁護士に問われると「ウッカリしていた。」
警察ではウッカリしていたの言葉で許されてしまうのか?
それと不利益な資料は不見当として提出されなくていいっていうのもおかしすぎ。
これが民間だったら首が飛ばされるとか重い処分が待ち受けていて絶対にタダでは済みません。

裁判官にしても矛盾な部分が多々あり。
被告がやったものとみなして裁判を進行しているのかと思いたくなる部分があったし、マニュアル通りの裁判に従事しているって感がありました。

そもそも女子高生が本当に痴漢にあったのかどうかも疑問。
この映画では、そこまで突っ込んでいなかったが、満員電車に乗っている以上は体が密着したりしていて不意に手が触れてしまうことだってある。
私は男なので女性心理はわからないのだが、女子高生が被害妄想意識にさいなまれていたのではないかとも思ったし、過去にも痴漢にあっていて怖い思いをしているのなら女性専用車両に乗ったら良かったのではないか?
朝の通勤・通学ラッシュの激しい電車だったら、今はどこでもラッシュ時に女性専用車両を設けているのが当たり前なのだから(謎)

そんなこんなで様々な障害にぶつかってしまいつつも無実を訴える徹平に対して母や友達、そして弁護士らの協力に支えられて、自分が無実であることを証明づけるデータや実験、そして当時の証人の証言などで自分の立場を変えられる所まで手繰り寄せていって判決を迎えるにあたる。

判決は現実的な判決となるのだが、この映画で思ったことは法廷はその人がやったかやっていないかを百聞だけで判断するものであって一見は全く無視されてしまう。
国家権力が如何に横暴で理不尽であるかという事であります。
民間においては非常識でも国家権力では常識となってしまう場合もあるんだなとも思っちゃいましたね。

この映画のテーマの1つでもあった痴漢冤罪に対する法の取り組みが甘いのではないかという点も、この映画では訴えていたのではないか。
痴漢は軽犯罪だからと言って軽く見られているとしたら、実際にはやっていないのに疑いをかけられた人としてはいい迷惑でしょう。
殺人だったら、警察も裁判官もあそこまで適当には動かないでしょうに。

でも、こういう問題が発生してしまうのも痴漢をやっている人間が実際にいるからに他ならない。
私には痴漢をやるヤツの気がしれない。
電車内という閉じ込められた逃げ場のない場所で何でやるのか?
そいつのせいで同じ車両に乗っている人間まで白い目で見られてしまうんですよね(汗)
私的には痴漢冤罪より先に痴漢を撲滅すべきでしょう。

あのミラーマンが、この映画を観て名誉毀損で訴えたりなんかして(爆)

Bellevue Ryo Kase―加瀬亮-写真+言葉+全作品